部活を物語の主軸にしない
驚くような展開も、深読みをしたくなるようなメッセージもないけれど、だけど、気づけば三十分見てしまう。それが、この「けいおん!」という作品だ。
タイトルの通り、廃部寸前の軽音楽部に所属する五人の女子高生達の日常を描いた作品なのだが、本作の面白いところは、部活動での音楽活動を、物語の主軸にしていないところにある。
部活動というテーマであれば、本来は練習に励み、大会を目指したりなど、登場人物の成長を描く一般的であるが、本作では練習や成長と言った描写はほとんどなく、部室でお茶を飲んだり、放課後に買い物に行く姿ばかりが描かれている。
そこに何かがあるのかと言われれば、確かに何もないのかもしれない。
だが、楽器作画監督というポジションまで作り精密に描かれた舞台装置や、移り変わる季節感を感じさせる空気感などの、京都アニメーションだからこそ出来る、精彩な作画が加わると、現実かのような臨場感が生まれるのだ。
それにより、あたかも登場人物と同じ時間を共有しているような錯覚に陥り、ついつい画面へと引き込まれていくのである。
また、作中では男性の存在や、受験などといった現実へと引き戻してしまうような、要因はほとんど描かれず、ただ楽しい高校生活のみが写されるので、ただただ、その現実に限りなく近いファンタジーの世界に入り浸れる。
本作は、アニメを見るというよりも、三十分という時間の中で、自分が高校生活を楽しんでいるような感覚になれる、不思議な魅力を備えている。
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2011年9月22日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:アニメ